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サウナ・オブスキュラ-Sauna Obscura –

  • Sauna

自然光が創る唯一無二のアート空間「サウナ・オブスキュラ(Sauna Obscura)」

 

フィンランド・ヘルシンキから車で東に向かって約1時間。

湊町ロヴィーサ(Loviisa)に、その名の通り、海に浮かぶサウナ、フローティングサウナがある。このサウナでは、太陽の光だけが描くアート、自然が創り出す一期一会の映像作品を楽しめるのだ。

 

港に着くとサウナの姿が確認できるが、入り口は海を挟んだその先。まずはサウナにたどり着く為に目の前に停泊している手漕ぎのボートに乗り込み、およそ100メートル先に浮かぶサウナを目指す。

オールを漕ぎ、一歩一歩近づいていくこの時間も含めてこのサウナの体験なのだ。海の上のサウナに近づくにつれ、これからはじまる特別な時間への期待が高まっていく。

ボートを横付けをし、サウナに到着。扉を開けた先に薪が用意されている。

サウナに入る為にはまず、自分たちで火を起こしサウナを温める。スイッチ一つで温めるサウナではなく、自分たちで薪をくべ、火を育て、サウナストーンを熱していく。

全てが用意されているわけではない、フィンランドらしいサウナ文化を体験できる貴重な時間でした。サウナが温まるまでの約30分、海に浮かびながら、のんびりと目の前の景色を楽しみ、釣りをする。

僕らだけのこの空間は唯一無二で心地よい時間が流れていた。

ここのサウナの最大の魅力は自然光を利用したアート空間であること。

正直、はじめは何のことかさっぱり想像できなかったが、サウナ室に入ると全てが払拭された。

ああ、なるほど。サウナ室に設置されたメガネサイズ程の丸いレンズから取り込まれた光が、真っ白な壁に映し出される。映し出された景色は上下が逆さま。港の風景や空、海辺の景色が現像的な映像となって現れる。特に印象的だったのは「水辺の光」。

太陽の角度によっては海面の煌めきが室内に入り込み、壁いっぱいに揺らめく光を映し出す。

 

このサウナの最大の特徴は海に浮かんでいることであり、風や波によってゆっくりと揺れている。

その揺れに合わせて、壁に映し出される景色も絶えず変化する。

二度と同じ映像が現れないのは、それが絶えず変化し続ける自然からの贈り物であるから。時には鳥の群れが空を横切り、その姿が壁面を駆け抜けるように映し出されることもあった。

電気もスクリーンも映像機器も使わず、自然光だけで生み出されるアート。

そこには人の手で創られる演出ではない、自然そのものの美しさが創る作品だった。火照った体を冷ましながら、フローティングサウナから糸を垂らし、静かな海を眺めながら魚を待つ。

非常に贅沢な釣り時間。

釣れなくても満足感が高かったのは、ここで過ごした時間と体験の数々が全て唯一無二であったから。

 

サウナ・オブスキュラは、単なるサウナではない。

ボートを漕ぎ、薪を焚き、自分たちで今日のサウナを育てる時間。

そして海に浮かぶ空間で、自然光が映し出す一期一会のアートを楽しむ時間。サウナに入りながら景色を見るのではなく、、景色そのものがサウナ室の中へ入り込んで来る。

少し不思議で、美しい体験は、フィンランドならではの自然との向き合い方を感じさせてくれるものだった。

 

ヘルシンキから少し足をのばした先にあるロヴィーサのサウナ・オブスキュラ。

自然とアート、そしてサウナ文化が見事に融合した、忘れられない体験だ。

モイモーイ!

 

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