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EXPO2025フィンランドサウナカンファレンス

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大阪・関西万博も残り10日を切った10月5日、北欧パビリオンでの最後のフィンランドイベントが行われました。

 

テーマは【SAUNA】

初めてVisit FinlandとFinnair・JALがオフィシャルに手を組んだ有意義な催しで、

万博会場に来られない方のためにオンライン配信もしており、国内外のサウナファンに見守られながら進められました。

ちなみに、国際サウナ協会のエロマー氏もご覧になっていたというから本国からの関心度も伺えます。

Moro!と司会のノーラ・シロラさんが元気に挨拶をすると会場の空気が2つに分かれます。

この言葉をご存知の方は顔がほころび、モロ?Moiじゃないの?と首を傾げる方も(私もそのひとり)。

故郷タンペレの挨拶(訛り)だそうで、冒頭から深いフィンランド愛と参加者との心の近さが伺えました。

今回のイベントは、最近よく耳にする「ウェルビーイング」とは具体的に何を意味するものなのかを、各分野の専門家を交えて複数のトークセッションや日本の伝統芸能「能」鑑賞を通じて皆んなで一緒に考えていこうという内容。

 

Celebration of Sauna Life

~日本とフィンランドをつなぐサウナ物語~

 

まず初めのセッションは『サウナ&コミュニティー』⚫︎日本とフィンランドの知られざる外交の幕開け

ゲストにラウラ・コピロウさん( フィンランド大使館商務部)、代田 美里さん( 鈴鹿市文化財課学芸員)、菅原 理之さん(株式会社SUNDAY FUNDAY)、モデレーターは沼田 晃一さん( フィンランド政府観光局)

 

フィンランド人にとってのサウナとは、昔から出産をしたりご遺体を清めたりと、とても神聖な場所であることは聞いていましたが、人口が550万人に対し、サウナが300万個もあるというその数の多さに圧倒されました。

 

フィンランド人のラウラさんが初めて入ったサウナは生後10ヶ月の時にお祖父様が作ったサウナだそうで、

きっと日本でいうお風呂(銭湯)のように生活に欠かせない存在なんだろうと想像できます。

 

しかし、日本のお風呂文化と違うのは2020年にフィンランドサウナがユネスコ無形文化遺産に登録されたこと。

伝統や文化、慣習だけでなく、それは社会的意義をもつことが認められたということになりますよね。

 

また、代田さんからは初めて日本にサウナが伝来したのは北海道の根室ではないかという大変興味深い歴史のお話がされました。『三重県鈴鹿市出身の大黒屋 光太夫( 運輸船の船頭)が江戸に向かう途中で 漂流し、ロシア人に助けられ、フィンランド出身の博物学者キリル・ラクスマンとその息子アダム・ラクスマンらとの出会いがあり、無事に北海道根室に帰国したお話。』菅原さんは、アウトドアサウナを提唱されていますが、サウナと防災の相性の良さをお話されました。

それは少ないお水でも体を温められるから!なるほどです。ますますサウナの可能性が広がりますね。

⚫︎地方に広がるサウナカルチャー

ゲストに古田 秘馬さん( 株式会社umari代表)、高橋 ケンさん( LAMP豊後大野支配人)、モデレーターはドラマ「サ道」ミロ役でお馴染みのアンティ・クンナスさん地方で広がりを見せるサウナ文化、その魅力は豊な自然とそこに暮らす人々とのコミニュティー。

コロナ禍の経験を経て、今こそ地方に暮らした方が活躍できる場があるのではと若い方は目を向けている。そういった人材を生かせる仕組みづくりが大切だと、そしてサウナを中心にした魅力あるまちづくりについてじっくりお話くださいました。続いてのセッションは『サウナ&マインド』

 

会場の中央に能舞台がセッティングされ、先ほどとは違った面持ちで椅子に座る。

なんでも人生初の「能」鑑賞。

日本最古の舞台芸能ともいわれ2008年にユネスコ世界無形文化遺産に認定された能の舞台を、まさか北欧パビリオンでデビューさせてもらえるなんて思ってもみなかった。

 

まずシテ(主役)の塩津圭介さんから能を楽しむ心構えを教えていただいた。

「演者は自分の感情を込めないで舞うので、観ている方がどう感じるのか、自分が感じたままに受け取ってもらえたらいい。」と。⚫︎演目はテンポのまるで違う舞囃子「羽衣」と舞囃子「高砂」

会場にいたフィンランド人スタッフも日本の古典芸能に大変喜んでいたようです。

 

⚫︎フィンランドと日本 価値観とアイデンティティの再考「互いに映し出す正反対のもの」

ゲストに石山 アンジュさん(一般社団法人Public Meets Innovation代表)、サトゥ・アールマンさん(PUROSI共同創業者)

モデレーターは再びアンティ・クンナスさん(在日フィンランド商工会議所専務理事)こちらのトークセッションで一番心にグッと来た言葉を紹介させていただきます。

「人は幸せでないと感じる条件が2つあります。それは“不安”と“疑い”の気持ちがあるとき」

確かに、この2つの感情がないときは晴れやかで心が軽い気がする。まるでサウナでととのった時のように。

 

⚫︎対談「能とサウナ」

塩津 圭介さん( 喜多流能楽師)、天野 春果さん(Two Wheel Sports 代表)自己紹介の中で天野さんが世阿弥(能楽師)の 「初心忘るべからず」のもう一つの解釈の意味を知り、背中を押され独立に踏み切ったとおっしゃっていました。

『衣を作る時はまず“初め”に刀を入れる。新しく何かを始めるときは何かを捨てる時でもある』また、塩津さんはフィンランド好きの塩津さんは、能とスポーツ、サウナには共通点があると。

『自分が得意とする視点で物事を見ると良い。誰にも流されず、“自分事化”する作業こそが能やスポーツを見る時間、そしてサウナに入る時間である』と慌ただしく過ごす日常と自己と対峙する時間のバランスの重要性を語られました。

 

北欧のコーヒーブレイク( Kahvitaukoカハビタウコ)を挟んで・・・『サウナ&ウェルビーイング』

⚫︎ウェルビーイングな未来を考えよう

ゲストは森實 敏彦さん(株式会社タマディック代表取締役社長)、川田 直樹さん(コクヨサウナ部部長)、粟生 万琴さん(株式会社LEO代表取締役CEO)、能村 祐己さん(太洋工業株式会社代表取締役社長)

モデレーターは岩田 真吾さん(三星グループ代表)

社内にサウナを作ったり、サウナ施設やサウナコミュニティーを運営されている皆様からは、どんどん転がる金言を拾うのに大変でした。

 

私なりに要約させてもらうと、

昨今、合理化が進みスピーディーに流れる日常に人間らしさが失われつつある中、時間軸の異なるものを人は求めているのではないか。それがサウナであり、自己と向き合う大切な空間。

サウナの中では肩書も脱ぎ捨て、ジェンダーの壁も取っ払い、自分らしくいられる。

ノイズが消え、自分の中にあるウェルビーイングに気づくことができた時、人は幸福感を味わう。

 

会社説明会にサウナを取り入れると、採用率が1割から3割にUPしたそうです!サウナの中では皆平等。サウナは“フィンランドのミニチュア”だと、冒頭でのラウラさんの言葉が蘇る。

 

登壇された皆さまのお話がとにかく楽しく、会場内もどんどん温まっていき、トークセッションが終わる頃には、もうポカポカ。まるでサウナに入っているかのような会場の一体感。

 

クロージングセッションでは、日本とフィンランドをリアルにつなぐ ~“はこぶ”から“つなぐ”へ~

ゲストに北川 昌彦さん(FINNAIR)、伊藤 翔次郎さん(JAL)

モデレーターは沼田 晃一さんヘルシンキは日本−ヨーロッパの直行便就航都市の中でトップ3にランクインしているって知っていましたか?

1位 ロンドン(35便)

2位 パリ(33便)

3位 ヘルシンキ(30便)

※2025年夏ダイヤベース

 

JALとFINNAIRは2014年4月に共同事業を展開することによって、ヨーロッパへの旅がますます便利になっています。

また、人を“運ぶ”から“つなぐ”にマインドを変え、人・カルチャー・マインドなどの繋がりを深める旅の創出に力を入れられているそうです。サウナという文化を通して興味を持ったフィンランド、

そしてサウナという共通の趣味を持って集まったここにいる方々との心のつながりが

また旅に足を向かせる。

これからも運んでくださいね、ご縁を。

 

ここでサプライズゲストが!!!

大きなモニターに登場したのは、フィンランドから我らが田中亜土夢。凍っていない湖に映るWオーロラを見ながらサウナに入ったことがある“自称オーロラファンタジスタ”!

皆様からの温かい拍手がありがたかったです。

 

【田中亜土夢の感想】

イベントはオンライン配信で拝見していました。

僕が今住んでいるのはコトカという田舎町なので、周りにいるフィンランド人に日本のサウナブームのことを話したら、ナゼ??と目を丸くして驚かれます。

遠く離れた国にフィンランドサウナ文化が伝わっていることが不思議なのだろう。

ましてや日本からわざわざタンペレの公衆サウナを旅行で訪れるなんて、まるで理解できないと思う。笑

 

それだけここに暮らす人たちにとってはサウナは日常だし特別なことではない。

逆に僕がこの前、帰国した際にクマタイチさんと銭湯に入らせてもらって、改めて「銭湯いいな〜」と感じました。

 

サウナという共通のツールを愛している国民同士もっと分かり合えると思うので、今回【能】を通して日本の芸能を知ってもらったように、お互いの文化を交換し合っていけたらいいな、“MOI SAUNA”というサウナをもっと温めていきたい。

【主催の フィンランド政府観光局 沼田晃一さんのご感想】

大阪・関西万博の北欧館で開催されたイベント”Celebration of Sauna Life”は、フィンランドのサウナカルチャーが好きで、その良さを世の中にもっと広めたい!、そう思っている仲間が集まってくれました。全ての始まりは「サウナのご縁」なんです。

 

僕がフィンランド大使館商務部に入ったのは2018年。何か新しいことを始めて欲しいと頼まれて、転職を決意しました。当時フィンランドと言えば、ムーミン・サンタクロース・オーロラ・北欧デザインのイメージでした。

「サウナの母国」なのに、サウナのイメージは定着していませんでした。直感的に「これはチャンスだ!」と思い、早速プロモーション企画を提案してみたんです。

 

ところが、意外にも猛反対されたんです。Why? 気になりますよね。理由を聞いてみると、「サウナを目的に日本人がわざわざフィンランドに渡航するとは思えない」という見解でした。「サウナは日本人にとってお風呂みたいなもの。お風呂に入るために海外から日本に旅行しますか?」とまで言われてしまいました。確かに(苦笑)

 

田中亜土夢選手との出会いは丁度その頃で、僕が自信を無くしかけていた時でした。ヘルシンキでプレーしていた時代に出会ったサウナの魅力について、力強い言葉で語ってくれました。僕の背中を押してくれたんです。

 

今回のイベントには、亜土夢選手のようなフィンランド・サウナカルチャー好きの仲間が全国から集まって、トークセッションを盛り上げてくれました。

 

会場は最高の雰囲気で、フィンランド人の上司や同僚がワクワクしていたのが印象的でした。フィンランドの伝統文化を様々な角度から深掘りしてみましたが、サウナに対してのリスペクトを感じたのと同時に、日本人独特の感性に衝撃を受けていました。北欧館ラストイベントを飾るのに相応しい、国際色豊かなプログラムでした。

 

「サウナシーンがブームからカルチャーへ」その起点となる、素晴らしい一日を最高の仲間と過ごしました。これからも引き続き、人生を豊かにしてくれるサウナのご縁を繋て、どんどん広げていきたいと思います

フィンランド発祥の“SAUNA”文化が私たちの幸せの価値観をアップデートしてくれたように、モイサウナとしても何か提案していけたらいいな。

 

モイモーイ!

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